接客に使える心理学-フードビジネスコンサルタント 氏家秀太氏に学ぶ
ざっくり言うと
- おすすめメニューをお客様が選ぶ、メニューブックの作り方
- 人間の記憶の仕組みを理解し、お客様の記憶に残る店にする
- スタッフの第一印象や料理などの提供時間が、お客様の心理にどう影響するのか
飲食店の接客やサービスには、お客様の心理を知った上でのアプローチが有効です。意識的に取り入れていくことで、売り上げUPや集客に結びつけましょう。
顧客心理を深く理解して意識し、それをスタッフとも共有することで、常にブレないサービスを行えるようにもなります。
今回は、フードビジネスコンサルタントの氏家秀太氏に学ぶ「飲食店の店長が、本気で使える心理学」をご紹介します。
メニューブックに隠された心理学!!
どの飲食店にも、看板商品や新商品といった「お客様に選んでもらいたいメニュー」が存在しますよね。
店側がすすめているメニューをお客様に選んでもらうには、2つの心理がポイントです。
1.「Zの法則」
Zの法則とは、メニューなどを見る際に、まず目線が左上に行き、左上→右上→左下→右下と「Z」の順番に視線を動かす法則のこと。
(編集部注:これは、横書きの文化に影響されているとされています。縦書きメニューであれば、まず右上に視線がいきます)
売れる商品には、メニューブックに載せる順番が関係しています。
メニューブックの左側の上から3番目、4番目に置いたメニューが最も注目される位置とされ、ゴールデンラインと呼ばれています。
街のポスターや雑誌の紙面づくりなどでも使われている心理学のテクニックです。
2.「0.3秒ルール」
0.3秒ルールとは、自分にとって「必要な情報か興味ある情報か」を0.3秒以内で判断するというもの。
したがって、0.3秒以内で目線が届く範囲に伝えたい情報を集約する必要があるのです。
お客様はメニューを見る際、「Zの法則」で見ていきます。そして目に飛び込んできやすい左上から3番目、4番目のゴールデンラインに置かれたメニューは、一瞬(0.3秒)で必要か、興味ある情報かを判断するため、認識されやすくなるのです。
また、メニューの1番上よりも、「2番目、3番目に置かれたメニューの方が注文されやすい」といった顧客心理もあるので、ゴールデンラインに置くメニューを入れ替えて試してみるのもいいでしょう。
一方、「位置」のほかに「価格」の並べ方にもポイントが隠されています。
例えば1,500円→580円という順番で並べるよりも、580円→1,500円の順で並べた方がお客様には安く感じられるため、選ばれやすくなると言われています。
このように、おすすめのメニューをお客様に選んでもらうには、メニューブックに載せる「位置」と「価格」に工夫を加えるだけで変わってきます。
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リピーター獲得のための「3つのタイミング」
一生懸命サービスをしているのに、なかなか売上げが伸びない…という方もいるのではないでしょうか。
新規のお客様が「また来たい」と思わなければ、リピーターが増えることはありません。
では、「また来たい」と思ってもらうためには、どうしたらよいのでしょうか?
その方法のひとつに、「サンキューレター(お礼状)」というものがあります。
繁盛しているお店は、人の記憶の仕組みをよく知っています。
ネットが普及した現代では、WEBやSNSで店を比較し、検討するといった行動が流れ作業のようになったことで、お客様から店自体を「記憶」されにくい時代になってしまいました。
ですから、来店したお客様に直接アプローチができるサンキューレターは、とても効率のいいツールになるのです。
では、出すタイミングはいつ頃がいいのでしょう。
これには人の記憶の仕組みが関わってきます。
人の脳は、「3日後」「3週間後」「3か月後」の3つのタイミングが「忘れるライン」と呼ばれており、3日以内に覚えたことを思い出さないと、覚えた内容の8割は忘れてしまうと言われています。
3週間以内に思い出さない記憶は、脳が必要のない記憶と判断してしまい、3か月間思い出すきっかけがなかった場合は、あなたの店の情報を思い出すことはないといえるでしょう。
したがって、この「忘れるライン」のタイミングでサンキューレターやメール、DMを送ることで、思い出してもらう「きっかけ」を作り、お客様の記憶にあなたのお店を残すことができるのです。
お店を気に入ってもらうために重要なスタートダッシュ!
飲食店では「サービスのストーリー」がポイント。お出迎えからお見送りまでのサービスの流れ=ストーリーがとても重要になってきます。
特に、入店時の第一印象が良ければ、その後のお店に対するイメージも良くなり、これが最後まで続けば、「良いお店だった」というお客様の高評価につながります。
また、最初に自分が歓迎されている雰囲気を感じとり、「気持ちの良いお店」というイメージがお客様の中で形成されていれば、サービスの途中でクレームが発生したとしても、おおごとには至らずに済む場合もあるのです。
心理学的にも、人の第一印象はなかなか変えにくいことが実証されています。
そのため、サービスのスタートからお客様をよく観察し、まずは第一印象を良くすることに徹しましょう。
そして、飲食店では「時間」の管理が大切になってきます。
よく「ファーストドリンクを2分以内で提供しろ」なんて言いますよね。
これは、お客様に飲食の最初のスタートを気持ちよく切ってもらい、その後のサービスにおいてアドバンテージを得るために欠かせないことなのです。
心理学は、お店の向上のみならず、自身の向上、そしてスタッフの教育にも活かすことができます。
これらの知識をスタッフ一人ひとりが理解しておけば、おのずとサービスの質も上がってくるはずです。
ぜひ、このような心理を駆使して、何度も足を運んでもらえるような店にしていきましょう。
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