冬こそ危ない食中毒!飲食店が知っておきたいノロウイルス対策とは?
ざっくり言うと
- 食中毒は冬が最も多い!
- 感染ルートは“手から”“空気から”“食べ物から”
- 除菌には次亜塩素酸ナトリウムが最適!
ご存知ですか?意外にも、一年の中で最も食中毒が多い時期は冬なんです。その原因は主にノロウイルス。ノロウイルス対策として飲食店は何をすればいいのでしょうか。
飲食業界で働く人のための学校 飲食人大学講師の井上直志さんに、飲食店がすべきノロウイルス対策法をうかがいました。
冬の食中毒の発生原因とは?

厚生労働省食中毒統計調べ(平成23~27年の平均。病因物質が判明している食中毒に限る)
ノロウイルスは、毎年10月頃から1、2月をピークに全国的に流行する食中毒のひとつです。
ノロウイルスに感染すると、吐き気や嘔吐、腹痛、下痢などの症状が出ます。主な発生原因は、牡蠣などの二枚貝と言われています。
生や、よく加熱していない貝から感染することが多く、しっかり加熱して食べれば感染することはありません。
しかし、恐ろしいのは、その感染力です。感染者やウイルスの保持者が触れたドアノブ、トイレに残ったウイルスなどから感染することもあります。
主な感染ルートは?
ノロウイルスの主な感染ルートは次の3つです。
➀手からの感染
感染者の便や嘔吐物、ノロウイルスに汚染されたトイレやドアノブなどに触れた手から、ノロウイルスが人の身体の中に入って感染。
➁空気感染
感染者の便や嘔吐物から、空気中に飛び散ったノロウイルスを吸入し感染。
➂食べ物からの感染
生食や加熱が不十分な状態の、ノロウイルスに汚染された食べ物を食べて感染。
気になるのは予防法ですよね。予防するためにはどうすればよいのでしょうか?
飲食店の予防対策は?
予防するには、日常の習慣が大切です。
➀調理前には手を洗う
せっけんはしっかり泡立て、指もていねいに洗浄することが大事。また、洗ったあとは、清潔なタオルやペーパータオルで拭きましょう。タオルなどを人と共有するのは厳禁です。
⓶調理器具の除菌
調理をする人や、食品からの二次汚染を防ぐためにも、調理器具の除菌をしっかりと。とくに包丁やまな板には注意が必要です。
包丁の場合は、柄の部分よりも、柄と刃の間をより丁寧に掃除をしましょう。そこに一番、魚や肉などのカスがたまります。
まな板の場合、木製のものは菌が繁殖しやすいと言われています。飲食店の場合はプラスチックのものを使い、使用後は次亜塩素酸ナトリウムでふき(※詳しくは次の見出し)、水洗いして自然乾燥させましょう。
閉店後と開店前の2回除菌すれば安心です。
⓷トイレの除菌
便や嘔吐物に含まれるノロウイルスから感染する場合があります。便座や便器はもちろん、トイレのドアノブや床、壁などもしっかり除菌をしましょう。
トイレは1時間に1回見回りし、清掃するのが理想的です。
④スタッフとその周辺の人の健康管理
スタッフ本人だけではなく、スタッフの家族の健康にも注意しましょう。もしも、スタッフの家族が下痢や嘔吐の症状にみまわれたら、スタッフも感染しているおそれがあります。
日ごろからスタッフとはコミュニケーションを取り合い、スタッフ周辺の健康状況も気にかけるようにしましょう。
除菌するには次亜塩素酸ナトリウム
除菌には、市販の次亜塩素酸ナトリウム入りの漂白剤を薄めて拭き取るのが有効です。次亜塩素酸ナトリウムで拭いたあとは、から拭きも必要です。
また、除菌する際はゴムやビニールの手袋をします。使用した手袋はその都度捨ててください。
インフルエンザと異なり、ノロウイルスは一部の塩素系消毒剤(次亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸水、次亜塩素酸水等)やエタノール系消毒剤でしか除菌できませんので注意を。
万が一、ノロウイルス感染者がスタッフに出た場合は、一日閉店してでも、店内をしっかり除菌すること。
またスタッフが感染した場合は、ノロウイルスの症状が完全に無くなるまで徹底して出勤を停止しましょう。
飲食店として、日ごろからしっかりと注意し、感染防止を心掛けたいものです。
写真:thinkstock
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