【プロ店長に聞く】立ち飲みは、お客様との絶妙な距離感が大切 第5回 後編|株式会社ひでぞう 中本雄三代表
接客

【プロ店長に聞く】立ち飲みは、お客様との絶妙な距離感が大切 第5回 後編|株式会社ひでぞう 中本雄三代表

「原価率80%のカキポンズ」「行列ができる立ち飲み店」……大阪市の通称ウラ難波で知られた、この立ち飲みの有名店を成功させている接客術とは、いったいどういうものなのでしょうか。

 

「プロ店長に聞く」第5回後編は、前編から引き続き、「魚屋ひでぞう立ち呑み店」を経営する株式会社ひでぞうの中本雄三代表に、立ち飲み店ならではの接客の極意や、1人客を大事にする理由、回転率に対する考えなどをうかがいました。

 

>【プロ店長に聞く】想像を超えた美味しさを届ける努力 第5回 前編|株式会社ひでぞう 中本雄三代表を読む

 

自分がされて嫌なことはお客さんにしない

 

中本雄三代表

中本雄三代表

 

-1日に150人以上もお客様が来られるということですが、お店の回転率を上げるための接客の工夫はされていますか?

たとえば、グラスが空いたら直ぐに次の注文にうかがうとか。

 

ああ、そういうのはやらないですね。空いているお皿をドンドン下げるとか、おかわりの催促とかも一切しないです。回転率を上げるための工夫って、ウチは特にないんじゃないですかね。唯一あるとすれば、お客さんを店の外で待たせないことでしょうか。

 

-待たせないこと?

 

お酒のメニュー

 

はい。うちは立ち飲みでは珍しく、外で順番待ちの行列になることがあるんです。普通の店は、空いた席の片付けが終わってから、次のお客さんを案内すると思いますが、うちは、片付けが終わってなくても先に席に着いてもらいます。まずお客さんを店にお通しする。外で待たせたくないんです。

 

あと、外で入ろうか迷ってメニューをみてるお客さんがいるときに、中から店員が「どうぞ、空いてますよ」ってやる店、あるじゃないですか。そういうのもしたくないんですよね。まだ迷っている段階なのに、強制的に引き込もうとするとか、自分がされて嫌なことはしないようにしています。そういった「呼び込み禁止」はウチの唯一のルールかもしれません(笑)。

 

カウンターの中で料理をするスタッフ

 

1人で飲んでいる理由を察し、一人ひとりの好みを覚える

 

-1人のお客様が多いとのことですが(※前編参照)、どういった方法でもてなすのでしょうか?

 

はい。うちでは1人で食べられる量のメニューを用意しています。今のお客さんって、いろんなものをたくさん食べたいってニーズがあるんですね。だから、他の立ち飲みにはないような、たとえばのどぐろのような魚。座りの店だとまるまる1匹で出して700円とかする焼き魚を、半分で出して、400円とかで売るんです。

 

さっきの原価率の話(※前編参照)で言うと、半分の方が、まるまる1匹出すよりも少しお得感は薄れると思いがちですけど、それでも1人のお客さんは喜んでくれる。「立ち飲みでこんな美味しい料理をちょうどいい量で食べられるなんて!」って満足してくれますよ。

 

一人客に喜ばれるメニュー

 

-1人客ならではのニーズがあるんですね。1人で飲みにくるお客様は、どのような理由で来ているのでしょうか?

 

毎回イヤホンで音楽を聞きながら、1人黙々と召し上がって帰るお客さんがいたんです。その方に、ちょっとしたタイミングで話しかけてみたら急にすごく話しはじめて。そこで、「実は誰かとしゃべりたかったんだ」って分かったんですよね。

 

そういうのって、立ち飲みのこの店を始めるまで分からなくて。二人で来てる方は話し相手がいますけど、1人の方はどうしていいか分からなかった。でも段々と、そうした経験を通してお客さんとの距離感が分かるようになっていったんですね。

 

-その「距離感」はスタッフさんにも浸透しているのでしょうか?

 

教えたわけではないですし、マニュアルもないんです。そこは背中をみて覚えてくれた感じですね。昔は自分が店に立っていたので、スタッフが自ら「そういうやり方でいいんだ」って覚えてくれて。で、その時のメンバーが今は下を教える立場になって、自分のやり方を自然と引きついでくれてる感じです。

 

-距離感って、難しいですよね。

 

カウンター上の小皿、箸、醤油、メニュー

 

そうですね。それこそ最初から最後まで黙って食事をしたい方もいるので、それは一人ひとりのお客さんをみながら、スタッフにはお客さんの好みなども覚えてもらいます

 

たとえば、このお客さんには、「いつものでいいですか」という会話だけでいつものお造りを出すとか、あのお客さんには「いつもの」と言われていつものハイボールを出すとか。

 

大事なのはその2つですね。

距離感と、一人ひとりの好みを覚えていくこと

 

中には、「1人でも豪勢に食べたい」といって、1万円以上召し上がって、週に3日とか来られる方もいますね。

 

立ち飲みなので、基本は1人の方が多いんですけど、団体で来られる方もいらっしゃいます。それはそれで大歓迎なのですが、あまりにおしゃべりがうるさい場合は、1人のお客さんに迷惑がかかるので、帰ってもらうこともありますよ。団体客のほうが儲かりますけど、1人で静かに飲みたいお客さんもいますしね。

 

距離感を大切にしつつ、お酒を楽しんでもらいたい

 

店名が印刷された酒器

 

あとは、立ち飲み屋だからという理由で、雑な接客対応はしないようにしています。立ち飲みだとおしぼりを出さないお店があるんですが、ウチはちゃんと出します。立ち飲みだからって、「これくらいでいいでしょ」というようにサービスレベルを下げたくないんですね。気持ち良くお酒を楽しんでもらうには当たり前のことです。

 

お客さんとは、馴れ合いにならないように絶妙な距離感を保ちつつ、お酒を楽しんでもらいたい。それは店の方針でもありますね。そういうのを積み重ねていくと、いいお客さんが集まってきてくれます。

常連のお客さんなんかは、店が混んでくると、察して会計を済ませて席を空けてくれたりするんですよ。

 

だから、回転率を気にしなくとも、自然といいお客さんが集まって、たくさんの方に楽しんでもらえる店になっているんだと思います。

 

新鮮な魚が楽しめるカウンター

 

-取材を通して、代表自身がされて嫌なことはしない、反対に、やりたいこと、喜んで欲しいことをどんどん積み重ねていった結果、このお店の繁盛があるのだなあと頷けました。

 

「美味しい魚介の料理を、想像を超えた安い価格で提供し、1人のお客様を大事にしつつ、一人ひとりの好みを覚えて絶妙な距離感を大切にする」。代表の信念と人間味を感じました。

 

余談ですが、最後に「魚介類はお好きなんですか」と聞くと、「たこ、いか、貝しか食べないです」とのお答えが意外でした(笑)。

(2016.11.22)

※値段は取材時点のものです

 

写真:魚屋ひでぞう 立ち呑み店様にて撮影

 

魚屋ひでぞう 立ち呑み店

所在地: 大阪府大阪市中央区難波千日前9-1
電話番号:非公開
営業時間:17:00〜24:00
(料理L.O.23:15)
定休日:無し

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