飲食店の接客ポイント。感動したのはここ!【潜入調査団】
ざっくり言うと
- 入店対応での感動ポイントは、「一人ひとりへの気遣い」
- オーダー・料理提供時の感動ポイントは「絶妙なタイミング」
- マニュアル対応ではない、もう一つ上の接客レベルへ
「ミステリーショッピングリサーチ」という、飲食店を覆面調査するサービスがあります。その運営マーケティング会社、株式会社 MS&Consulting が提供するデータから紐解く【潜入調査団】シリーズ。
今回は「来店客の感動が生まれている接客ポイント」をピックアップします!
お客様は、はたして店員の接客の「何に」感動しているのか!?
そもそも感動とはいったい何なのか!? !?
その哲学的な問いに迫るべく、店長自身で自問自答するもよし、この調査結果を、従業員の方への教育に取り入れてみるもよし!
特に接客時の心象に差が出る「入店対応」「オーダー・料理提供」に絞って見ていきましょう。
入店対応での感動ポイント!
まずは、下の表を見てください。
これは、潜入調査の際の、調査員への設問項目とそれぞれの評価点です。 2万店近くを潜入調査し、各設問に対して調査員が点数を付けました。
① 全体の平均点:全店の平均点
② 上位店の平均点:点数が上位20%の店での平均点
③ 下位店の平均点:点数が下位20%の店での平均点
④ 上下店の平均の差:②-③した数値
その意味するところですが、
・④の数値が大きい設問
=店員の接客に、
「差が生まれやすい」ポイント
・①の平均点の数値が低い設問
=どの店でも平均的に評価が低い
すなわち
「元々お客様の評価がシビア」で
「気になりやすい」ポイント
となります。
たとえば、
- ウェイティングがあった場合、何かスタッフから気遣いのお声がありましたか
- 入店時の喫煙、禁煙のご確認はありましたか
これらの設問は、④「上下店の平均の差」が大きく(赤の部分)、かつ、①「全体の平均点」も低い(緑の部分)ため、お客様がシビアに評価する「重要な設問」であると言えるでしょう。
感動コメントをピックアップ!
次に、これらの「重要な設問」の中でも、評価点が高かった店で、かつ感動したと言わしめた店のコメントをいくつかご紹介します。
“ドアを開けると、笑顔でスタッフが近づいて来ました。予約ちょうどの時間に入店したからか、「ご予約の◯◯様でしょうか」とスタッフから声かけが。待たされることなく、すぐ席へ。
案内されたのは4名席だったので、ゆったり座れて、嬉しかったです。上着を椅子に掛けると、スタッフが来て「もし宜しければ、上着をお預かりしましょうか?」と案内して下さいました。
この日は寒く、上着を着たままの人や、上着をひざ掛けにしている人もおり、スタッフは、お客様の状況を見てから声を掛けていることに感心しました。”
“入店時、カウンターの男性スタッフが「こんばんは」と、とても元気なこ挨拶をしてくださったので、ずいぶん活気のあるお店だなと思ったのが第一印象。
すぐに女性スタッフが、丁寧に席まで案内をしてくださり、コートを預かってくださいました。対応の1つ1つにとても気遣いが感じられて、大変、印象が良かったです。
予約をしていたため、名前入りのメッセージカードが用意されていたことが嬉しかったです。”
“入店時、男性スタッフさんが「いらっしゃいませ」と出迎えて下さり、人数をお伝えすると、席までスムーズに案内して下さいました。
その間に、他のホールやキッチンスタッフも、きちんと目を見て挨拶をして下さいました。私達の来店を歓迎して頂いているのが伝わってきて、とても嬉しかったです。 ”
丁寧で、心がこもっていて、一人ひとりへの気遣いある接客に、お客様の感動ポイントがあるようです。
オーダー・料理提供の感動ポイント!
同様に【オーダー、料理提供】の場合を見てみます。
こちらでは、
- 注文の際、自然なお勧めがありましたか
- お客様がスタッフをお呼びになる前に伺いにきましたか
などが特に「重要な設問」となっています。
感動コメントをピックアップ!
“スタッフに、おすすめの料理を聞くと「やはり肉系ですね。その中でも牛肉や馬肉がおすすめです」とメニュー表を指さし、案内して頂きました。
ワインについてもこちらから質問する前に、「新しくメニューに追加されたもの、定番のもの、味について」を詳しく教えて頂きました。その案内のおかげでイメージがわき、楽しくワインを選ぶことができました。”
“飲み放題メニューの日本酒の銘柄について、おすすめをスタッフに尋ねた時、「白鹿です。超超超辛口ですよ」と教えてくださったのですが、超辛口と聞いて迷っていると「少しだけ飲んでみます?飲み放題なのでいいですよ」と試飲をさせてくださいました。
結果的にこれがとても美味しくて、4回もお代わりしました。対応がとても嬉しかったです。”
“料理の提供についても極端に遅くなるような料理はなく、一度に何品オーダーしてもバランス良く順番に出してくださいました。
温かい料理は冷めないうちに、冷たい料理は冷たいままで快適に食事をすることができました。テーブルに乗りきらないこともなかったのでその気遣いが素晴らしいと思いました。”
お客様がしてほしいことを、絶妙なタイミングでされた時に感動が生まれているようですね。
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ここまで、お客様が「どのポイントを気にしていて」、「どこに感動しているのか」を見てきました。
入店時の対応でも、オーダー・料理提供時でも、お客様一人ひとりへの気遣いが感動を生むようです。もちろん「やっている」お店も多いでしょう。
しかしそれが、いかにもマニュアル的な対応だった場合、お客様の心には響かないのです。
今回の調査をもとに、自分の店舗の接客レベルを上げられないか、見直してみてはいかがでしょう?
写真:thinkstock
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