【プロ店長に聞く】「拡散」へのこだわりは、フォトジェニックな店づくり 第4回 後編|ワタミ株式会社 海野徹基店長
2016年8月、渋谷区神南にオープンしたばかりのモダンメキシカンダイナー『TEXMEX FACTORY(テクスメクスファクトリー) 渋谷神南店』。
オープンからひと月ほど経ったいま(※取材時点)、テキサス風メキシコ料理、「テクスメクス」の認知度をあげてお客様を呼び込むために、店長の海野さんはどのような施策を行ってきたのでしょうか?
「プロ店長に聞く」第4回後編は、前回に続き、TEXMEX FACTORY渋谷神南店を運営しているワタミ株式会社の海野徹基店長に、「SNSを活用して口コミを起こす集客施策」についておうかがいしました。
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非日常の異空間をフックに、口コミを生む
-オープンからひと月ほど経ちましたが、集客という点で工夫していることはありますか?
メインターゲット層の25~35歳の流行に敏感な男女に来てもらうために、大人らしく、艶感のあるお店づくりを目指しています。
今はまだオープンから間もないということもあり、「ここにTEXMEX FACTORYがある!」ということを知ってもらうのに、一番力を入れている部分ですね。
施策としては、グランドオープンの前にインフルエンサー(=特に SNSで、世間に強い影響力をもつ人)の方を店舗に招待させていただき、店内や商品の写真をインスタグラムやSNSで情報拡散をしてもらおう!というローンチレセプションを実施しました。
今の時代は、店舗が発信する情報よりも、実際に店舗や商品を体験したお客様自身が発信する情報に消費者は信頼をおいていると考えています。
実際に、当店のターゲット層はSNSなどを活用している世代です。この企画はまさにターゲットにマッチすると思ったんです。
-お店の内装も特徴的ですね。写真映えしそうです。
「お客様にインパクトを与える」というのは、お店づくりの根本でもあります。入り口のピンクの洞窟、店内に配置してあるスカルの装飾などもシンボリックなアイコンになっていると思います。日常とは違う異空間を演出することで、写真を撮りたい気分を盛り上げます。

入り口のピンクの洞窟
-ハンバーガーのバンズにも焼印で店名が入っていますね。

アボカドバーガー 1,680円(税抜)
そうですね。店内装飾だけでなく、商品の見た目も魅力的になるよう、盛付けを大事にしています。
テキーラと炎で仕上げるファヒータや、女性に人気のアボカドを使用し、ヘルシーかつ、ボリューミーに仕上げたアボカドバーガー、パイナップルをまるごと使ったウルティモパイナップルなどが当店のウリのメニューです。味はもちろん、見た目も楽しんでいただける商品です。

ウルティモパイナップル 1,300円(税抜)
インパクトがある店内や、商品写真を撮って拡散してもらうことで、見た人が「ここに行ってみたい!」と思ってもらえれば嬉しいです。「ピンクの壁」や「ピンクの店」といった、当店を表すユニークなハッシュタグをつけてもらえれば、ありがたいです。
その他にもおもちゃのひげやフォークなど、TEXMEXのロゴをモチーフにしたプロップス(=小道具)を用意しています。プロップスを用いることで、写真を撮ってもらう際に自然にブランドのアピールができますし、お客様自らがこのプロップスを使って、楽しんで写真を撮っていただいているのを見ると嬉しいですね。
店の存在をさらに認知してもらうために、今後はさまざまなメディアとの連携も積極的に受けていきたいと思っています。
「目的型来店」を集客のフックにしたい
-‘‘拡散’’を意識したお店づくりが特徴的なんですね。
ターゲットである流行に敏感な方のアンテナに引っかかる店舗づくりを目指しました。
店内の照明には本場さながらのスターライトを使用したり、全面ピンク色の半個室を「PINK ROOM」と名づけたりしたのも、ターゲットのお客様に興味を持ってもらえるように考えました。SNSなどで投稿された写真を見て、あのお店で女子会をやりたい、デートで使いたいなど、目的を持ってきてもらえる、目的型来店を促せると考えています。
ただし、目的を持って来店してもらうことはあくまで過程です。「もう一度来たい」と思って再び来店してもらえることが、最終ゴールだと思っています。
-お客様に再来店いただくため、スタッフとはどのように連携をとっていますか?
そうですね。スタッフ間の情報の共有は非常に大事だと考えています。当店では毎朝朝礼を行い、前日に店で起こった出来事を共有しています。スタッフがミスをしても怒らず、お客様に「また来たい」と思っていただくためにはどうすればいいかをスタッフに考えさせ、次から行動に移せるきっかけになるように朝礼を活用しています。
もちろん、スタッフに向けたマニュアルは使用しています。マニュアルに縛られず、お客様の声や、よりよいと思うアイデアがあったら積極的に採用し、常にブラッシュアップしています。
-最後に、お店や海野さんのポリシーをお聞かせいただけますでしょうか?
当店のポリシーとしては、店内の雰囲気や商品を体験していただき、日常とは違う異空間で、テクスメクスを堪能してもらいたいです。
私のポリシーは、テクスメクスという、日本ではまだ決してポピュラーではない業態を運営させていただいている環境で、一から新しいチャレンジをさせてもらえることに感謝し、周りの期待に応えていく、ということです。
-「艶感」のあるお店づくりで目的型来店を目指し、積極的にメディアを攻めるTEXMEX FACTORY。長らく飲食業界で働き、経験を磨いてきた海野店長の知見が感じられるお話をたっぷりとうかがえました。貴重なお話をどうもありがとうございました!
(2016.10.26)
※値段は取材時点のものです
写真:TEXMEX FACTORY様にて撮影
TEXMEX FACTORY 渋谷神南店
所在地:東京都渋谷区神南1-19-3 ハイマンテン神南ビル2階
電話番号:03-5459-3690
営業時間:11:30〜24:00
(料理L.O.23:00、ドリンクL.O.23:30)
定休日:無し
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