【居酒屋のお通し戦略】いいお通し、わるいお通しとは?
ざっくり言うと
- お通しの由来とトレンド、お店とお客様それぞれのメリットについて
- お客様にとってのいいお通しとわるいお通し
- お通しでお店の理念や季節感のアピールを
「お通しカット」も当たり前になりつつある昨今ですが、飲食店にとってお通しは、重要な売上の手段のひとつ。
さらにうまく使えば、新商品のテストマーケティングなどに活かすこともできるのです。この機会に、お通しの意義を見直してみませんか?
今回は、居酒屋のお通し戦略について、飲食業界で働く人のための学校 飲食人大学 統括講師の高田正光さんにお話をうかがいました。
「お通し」はどうして始まった? トレンドはある?
諸説は多々ありますが、「お通し」とはそもそも、「お客様を席へ通す」という意味から始まったもので、お客様がお見えになったことを厨房に知らせつつ、料理の準備を始めてもらうことも兼ねているとされています。
また、お客様への料理の提供が遅くなってしまうときに、お酒の注文時に小鉢をサービスで出したのが定着したものだともいわれています。
「おもてなし」の意味合いが大きかったことから、本来お通し代というのはお客様からいただいていなかったようですね。
お通しは、いわばお店のトップバッターにあたる料理。お通しを出すことには以下のようなメリットが考えられます。
店側のメリット
- 店の基本的な味を知っていただくことができる
- お酒のアテとして召し上がってもらいながら、次の料理までの間をもたせられる
- 新商品のテストとしてお客様に提供し、感想を聞いてブラッシュアップさせることができる
お客様側のメリット
- 店の味やこだわりをまっさきに体感できる
- クイックメニューなので待たなくて済む
現在は、お通し代の平均価格が100~980円と幅広い時代です。自信を持って提供できるお通し作りに挑戦してみてください。
最近のお通しは、ひと手間加えた前菜的な料理がトレンドです。
お通し代が少々高めであるならば、単なる「お通し」ではなく「本日のひと手間」など、呼び方を変えてみてもいいですね。
お客様から見た、いいお通し、わるいお通し
ポイントさえ押さえれば、お通しをメニュー開発や店のブランディングに活用できます。事例を見ていきましょう。
お通しをお店の通常メニューにしてみる
メニューで残る端材をお通し用に作り変え、お客様から「おいしい」とか「おかわり」などの声があがれば、そこからもうひと手間かけてブラッシュアップさせ、通常メニューに入れます。
お通しのお試し期間は平均2週間。ブラッシュアップ後に原価計算、価格設定。原価が高ければ分量を調整し、売れる一品に変身させましょう。
お店の理念、季節感をアピールする
月別で季節野菜を入れるなど、おいしいだけでなく、常にお客様に感動を与えられる内容を心がけると、お店の熱意も伝わります。
そのお通しをきっかけに、お客様が常連になってくれることもあるでしょう。
いいお通しができた際には、「細部のお通しまでこだわりました」「選べるお通し10選」などのフレーズで、お通しの魅力をアピールすると効果的です。
また、その一方で、わるいお通しの事例として挙げられるのはやはり、手抜き感が見えるものでしょう。
たとえば、「生のキャベツを出しただけで、数百円も取る」「冷凍していたものを凍ったまま出す」「既製品をアレンジせずに提供したりする」などの結果、お客様が離れていってしまったお店もあるのです。
お通しがおいしくてお客様に好評であれば、その後のお店のメニューにも期待を持ってもらえますし、リピーターになってくれる可能性もアップします。
また、お通しを新商品のテストマーケティングに使ったり、店のブランディングに活用したり……など、お客様のことを考えつつ、お通しの方向性を改めて考えてみませんか?
画像:gettyimages
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