飲食店の内装工事、耐用年数と減価償却のポイント
内装・外装

飲食店の内装工事、耐用年数と減価償却のポイント

ざっくり言うと

  • 内装工事は明細ごとの仕分けがポイント
  • 内装工事は開業費に含まれないので注意!
  • 内装を解体した時の費用はどうする?

 

初めて飲食店を始めたオーナーの方にとっては、1年間の収支を締めくくる「確定申告」も初めての経験になると思います。

 

専門家である税理士へ顧問を依頼しない場合、月々の会計処理も自分で手掛けなければなりませんが、開業前に行なった店の内装工事については、種類ごとに資産計上し、適切な耐用年数で減価償却していく会計上のルールがあることをご存知でしょうか。

 

特に飲食店の開業に際して、賃貸のテナントを借りて内装工事をした場合は、どのように会計処理を行うべきか、疑問に思う方も多いと思います。

 

飲食店の内装工事は、決してコストの安いものではないため、減価償却の金額が経営に与える影響も少なくありません。

 

飲食店の内装工事について、減価償却の基本から内装工事における耐用年数の決め方などについて見ていきましょう。

 

内装工事は明細ごとの仕分けがポイント

 

内装工事は明細ごとの仕分けがポイント

 

内装工事の仕訳は、内装工事の請求書と請求明細書を見ながら行いますが、自分で仕訳を行う場合は、まずは自分が「白色申告者」なのか「青色申告者」なのかを必ず確認しましょう。

 

どちらに該当しているのかによって、適切な仕訳が異なるからです。

また、内装工事は耐用年数に合わせて減価償却するものがすべてではありません。

 

「白色申告者と青色申告者のどちらなのか」「個別の工事金額」などによっては、修繕費や消耗品費などの費用に計上できるものや、一括償却といった減価償却とは違った償却方法を選択できるものもあります。

 

減価償却する内装工事の仕分け方法

内装工事の仕訳を実際に行っていくためには、内装工事の請求書や請求明細書の内容を確認し、「建物」で処理するのか、「建物附属設備」で処理をするのか、「経費」で処理をするのか確定させなければなりません。

 

このとき、建物の「構造・用途」によって減価償却をするための耐用年数が異なっていることから、あらかじめ建物の構造・用途について、登記事項証明書などで確認しておく必要があります。

 

なお、事業を営んでいるオーナーの場合、減価償却をする方法は、税務署に届出をしていない限り「定額法」で行わなければなりません。

 

これを「法定償却方法」といい、所得税法と法人税法では、法定償却方法が異なるため注意が必要です。

参考:国税庁「減価償却のあらまし 2 減価償却」より

 

「建物附属設備」や「構築物」においては、平成28年度の税制改正によって「新規に取得する建物附属設備・構築物の減価償却方法を、定額法に一本化する」ことになりました。

 

ただし、減価償却の届出を税務署に行っていないオーナーは、法定償却方法が「定額法」であるため、法改正の影響は最初から生じません。

 

内装工事の耐用年数と勘定科目

国税庁では、飲食店の内装工事にかかる耐用年数と勘定科目についてルールを設けています。

耐用年数と勘定科目

構造・用途 細目 耐用年数 勘定科目
木造・合成樹脂造のもの 飲食店用のもの 20年 建物
木骨モルタル造のもの 飲食店用のもの 19年
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造のもの 飲食店用のもの 34年
その他のもの 41年
れんが造・石造 店舗用・住宅用 38年
ブロック造のもの 飲食店用のもの
金属造のもの 飲食店用・車庫用のもの4㎜を超えるもの 31年
3㎜を超え、4㎜以下のもの 25年
3㎜以下のもの 19年
アーケード 主として金属製のもの 15年 建物附属設備
日よけ設備 その他のもの 8年
店舗簡易装備 3年
電気設備(照明設備を含む。) 蓄電池電源設備 6年
その他のもの 15年
給排水・衛生設備、ガス設備 15年

参考:国税庁「耐用年数(建物・建物附属設備)」

 

内装工事の内容と上記表の内容を照らし合わせて、「建物」にかかる工事なのか、「建物附属設備」にかかる工事なのかに分類します。

 

この時、建物附属設備にかかる構造・用途を確認し、あてはまらない場合は、「建物」と判断する方法が簡単です。

 

押さえておくべきポイントは「それぞれの工事一式の金額がいくらなのか」によって「減価償却」「一括償却」「少額減価償却資産の特例」と、利用の仕方が異なるところにあります。

 

「少額減価償却資産の特例」とは、取得価額が30万円未満である減価償却資産を購入した場合に、減価償却をしなくとも、一度に経費として処理することができる制度のことをいいます。

 

ただし、少額減価償却資産の特例は、青色申告者のみに認められている制度であるため、一定期日までに青色申告の届出を行っていない個人のオーナー(白色申告者)の場合は適用できませんので注意が必要です。

 

これは日常の会計処理(仕訳)についても同様です。

 

賃貸物件の内装工事の耐用年数

賃貸物件の内装工事の耐用年数

 

国税庁では、賃借建物の内装工事の耐用年数について次のように記載しています。

 

「同一の建物についてされた造作は、そのすべてをまとめて一つの資産として償却をしますから、その耐用年数は、造作の種類別に見積もるのではなく、その造作全部を一つの資産として総合して見積もることになります。」

参考:国税庁「No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数」より

 

内装工事は店舗建物の価値を増加させるための「資本的支出」とみなされ、耐用年数と勘定科目の表にある通り、建物の耐用年数を適用して減価償却されます。

 

しかし、賃借建物の場合は、建物と内装工事のオーナーが違うため、同じ資産にはできません。そのため、他人の建物に対する造作の耐用年数は賃借期間の定めがあり、一定の条件を満たした場合は賃借期間を耐用年数と定める場合があるのです。

 

このように内装工事に関する耐用年数は、構造・用途に応じて合理的に見積もる必要があります。

 

つまり、建物の耐用年数と内装工事の種類や用途、使用資材などを加味しながら耐用年数を決めなければならないのです。

 

なお、一般的に言われている10年~15年という耐用年数は、あくまでも目安であり、実際にかかった内装工事費用を合理的な計算の下で導き出された平均耐用年数になります。

 

例)店舗の壁紙張り替え工事の耐用年数

ここでは、壁紙張り替え工事をした場合の耐用年数を中心に具体例などを交えて見ていきましょう。

 

前提条件として、壁紙張り替え工事は店舗建物の価値を増加させるための「資本的支出」であったものとします。

上記「耐用年数と勘定科目」の表にあてはめて耐用年数を導き出します。

 

壁紙張り替え工事を行った場合の耐用年数

内装工事の中でも付帯設備に関するものであれば、建物付属設備として区分できるため、上記の表を参照して耐用年数を計算することができます。

 

もし、壁紙の張替え工事と同時に電気設備や給排水設備などに手を加えていたとしたら、建物付属設備の勘定を使用し、それに壁紙工事も含め15年の耐用年数とすることができます。

 

しかし、「壁紙の張替えのみ」の場合はこれには該当しません。

 

鉄骨建物にて壁紙張り替え工事を行った場合の耐用年数

では、仮に鉄骨の建物であれば、壁紙張り替え工事のみでも上記の表にある飲食店用として34年となるのでしょうか?

 

壁紙の減価償却に34年というのは常識的に考えても不自然です。

 

具体的な耐用年数は建物構造や資産的支出としての価値があるかどうかなど、さまざまな要素を鑑みながら合理的に判断する必要があるのです。

 

その他の具体例

80万円の内装工事費を耐用年数の10年で減価償却すれば、年間8万円の資本的支出になります。この賃借契約が5年であれば耐用年数を5年とし、年間16万円の資本的支出になります。

 

開業から当面の間は経営も苦しいだろうなどの理由から、耐用年数を短めにして経費の計上を大きめにすることで、数年間の節税が見込まれます。

 

内装工事費用についてよくある疑問

 

内装工事費用についてよくある疑問

 

内装工事費用の計上に関しては、「減価償却」「一括償却」「経費」というどの方法を選択するのかによって税金が変わってくるため、事業が軌道に乗った後の店舗移転なども考慮しておく必要があります。

 

初期投資をどの程度かけるのか、どの費用がどんな勘定で計上できるのかといったことを、開業費や解体費用などの点からも考えていきましょう。

 

内装工事費は開業費に含まれない?

開業費とは、事業を開業する前に支払った費用のことをいいます。

内装費は事業を開始する前に支払った費用と考えられることから、一見、開業費にあてはまるような気もします。

 

しかし、内装費は「開業費ではなく、減価償却資産」とするのが正しいと考えられます。

 

こちらの解釈は、専門家である税理士や税務署の職員の間でも意見が分かれるようですが、国税庁が公開している「通達目次 / 耐用年数の適用等に関する取扱通達」には、内装工事費用について減価償却資産として計上する方法が書かれてあるようです。

 

税に携わっている人同士でも解釈が分かれていることを踏まえると、専門家である税理士に判断を委ねる方が良いでしょう。

参考:国税庁「通達目次 / 耐用年数の適用等に関する取扱通達」より

 

内装を解体した時の費用はどうする?

事業が軌道に乗って、将来、もっと立地条件の良いところに店舗を移転するといったこともあると思います。

 

貸借店舗の場合は原状回復のための、解体工事が必要となりますが、この時に生じるのは「店舗造作」でも「修繕費」でもなく、「固定資産除却損」としての費用処理となります。

 

固定資産除却損とは不要となったり、耐用年数に達した有形固定資産(機械装置や内装など)を除却、撤去処分することで発生する損失のための費用勘定です。

 

これは特別損失としても扱われます。内装の解体工事は経常的に発生する費用ではなく、損金として計上します。

 

減価償却などの仕訳も含めて、内装工事の耐用年数を決める際にはあらかじめ税理士に相談した方が良いと思われた方も多いのではないでしょうか。

 

実務上、減価償却の仕訳方法のみを理解できれば良いといったことではなく、2年後、3年後、10年後といった将来の経営成績を見据えて考えることが、節税や経営にとって重要です。

 

要点をしっかり押さえて、税理士に相談するべきかどうかについても、先を見据えて検討しておきましょう。

 

画像:写真AC
Fotolia

 

メールマガジン会員登録

メールマガジン会員登録

「接客の極意」動画解説公開中!

「接客の極意」動画解説公開中!

飲食店診断

飲食店診断

ランキング

  1. 【接客の極意】第6回「会計をするシーン」と「お見送りをするシーン」
    接客

    【接客の極意】第6回「会計をするシーン」と「お見送りをするシーン」

  2. フォローしたい飲食店のインスタグラム撮影テク!【上級編】
    集客・広告

    フォローしたい飲食店のインスタグラム撮影テク!【上級編】

  3. 【潜入調査団】感動したのはここ!飲食店接客ポイント
    接客

    【潜入調査団】感動したのはここ!飲食店接客ポイント

  • 飲食店用品.jp

    業務用ツール通販サイト| 飲食店用品.jp
  • mai

    コストをかけずにマイナンバー対策

人気のキーワード